Story 開発者ストーリー
私たちの開発ストーリーを、ぜひご覧ください。
良質な睡眠に欠かせない条件とは

─快眠のために最も重要だと考えるポイントは何でしょうか?
良質な睡眠を得るためには、「体圧分散性の良さ」、「寝姿勢の保持力」、そして「寝返りのしやすさ」がバランスよく整っていることが重要だと考えます。
─それらの条件を満たす寝具の特徴についてどのようにお考えですか?
身体全体を優しく支え、背骨の自然なS字カーブを保つことができる寝具が理想です。また、血流やリンパに流れをできるだけ妨げず、寝返りがしやすい構造であることも重要です。このような特徴を持つ寝具は、身体の緊張や不快感を軽減し、より深い睡眠を促進します。
─それ以外に重要な要素はありますか?
肌触りや温度・湿度などの寝具内の環境も非常に重要です。快適な環境を整えることで、よりよい睡眠が得られます。
─具体的な商品についても教えてください。
弊社が開発した圧縮ムートンは、柔らかな毛質のスプリングラムを厳選し、約40%原皮を圧縮することで体圧分散性と耐久性、そして、肌触りを追求しています。
多くのお客様から「今までにない寝心地」とご好評いただいています。
ムートンクリーニング実績10万枚以上から見えてきた「理想のムートン」とは
─御社のメイン事業はムートンのメンテナンスと伺いました。創業は1998年とのことですが、その間にどのような経験やノウハウを積まれてきたのでしょうか?
長年にわたり様々なメーカーのムートン製品をクリーニングしてまいりました。これまでに 10万枚を超える実績があり、お客様のニーズやお悩みを直接うかがう機会も多く、 ムートンを使用することによる難点や改善点など貴重な経験を日々積んでいます。
─「お客様から寄せられるお悩みについて教えていただけますか?
特に多いのは「数年でお尻や肩のあたりの毛がつぶれて薄くなったと感じる。」というものです。体圧がかかるとムートンの毛並みが倒れ、絡みやすくなります。 絡んだ毛にさらに体圧がかかることで毛切れが起こり、結果として毛に弾力がなくなり寝心地が悪くなります。
─そうした毛のつぶれや薄毛を防ぐためにどのような対策を行なっているのでしょうか?
商品自体で薄毛を防ぐことは難しいですが、弊社では、お客様に長く快適にお使いいただくために定期的なメンテナンスを行っています。具体的には、クリーングの際に擦り切れて薄くなった部分を密度の高い原皮と入れ替えるリフォームを実施しています。このサービスにより、寝心地や弾力性が復活し、お客様からも「以前より快適になった」とお喜びの声をいただいています。
長く使える「理想のムートン」は土台のなめしが重要
─御社が考える「長く使える理想のムートン」のポイントについて教えていただけますか?
長く使えるムートンで最も重要なのは「なめし」です。これはムートンのご使用寿命を左右する大きな要素です。
─なめしが重要だということですが、具体的には鞣しでどのような違いがあるのでしょうか?
粗悪な鞣しや鞣し技術が不足している工場で製造されたムートンは、短期間で劣化しやすく3年ほどで修理が必要になり、5年も経たずに廃棄する商品もあります。逆にしっかりと鞣されたムートンは、15年、20年と長くお使いいただくことが可能です。
─長期にわたって使用できるムートンの特徴は何でしょうか?
丁寧な鞣しと高い技術力によって 革の土台がしっかりと保たれていることです。こうした製品は、時間が経っても品質が保たれ、より長く愛用いただけるものになります。
─長く使えるムートンを選ぶ際には、なめしの状態に注目することが重要だということですね。
その通りです。しかし、なめしの状態については専門知識が必要となるため、お客様ご自身で判断をすることは難しいと思います。専門知識を持つ方も限られているので、信頼できるお店でご購入されることをおすすめします。
原材料へのこだわり 生後半年未満のスプリングラムのみを通常の2倍量使用
─アンカージェネシスのムートンシーツの原料について教えていただけますか?
当社のムートンシーツには、生後半年未満のスプリングラム(アンショーン)だけを使用しています。一度も毛刈りされていない子羊を使っているため、非常に柔らかくなめらかな毛質で 肌触りがとても良いのが特徴です。
─その柔らかさゆえに体圧分散性には課題もあると伺っています。
その通りです。スプリングラムの毛は柔らかさが魅力ですが、体圧分散性は生後一年未満の子羊(ショーンラム)に比べて劣る傾向があります。そこで、スプリングラムの弱点である体圧分散性をカバーするため 独自の圧縮技術を開発し、ムートン自体を約40%圧縮することに成功しました。
─圧縮技術によって どのような効果が得られるのでしょうか?
ムートンを圧縮することで毛の密度が高まり、体圧分散性が向上します。これにより、柔らかさとともにしっかりと身体を支える凝縮された毛を実現しています。
─製品について詳しく教えてください。例えば、シングルサイズ(100㎝×200㎝)のムートンシーツには何頭の羊が使われているのでしょうか?
一般的には、同サイズのムートンシーツを作るには約6頭の羊が必要です。しかし、圧縮原皮を使用した当社のアンカージェネシスでは、12頭の羊を使い製造しています。
─原皮の選別について 特にこだわっている点を教えていただけますか?
仕上がりを左右する原皮の選別についても非常にこだわりを持っています。スプリングラムの中でも毛長が長いうえに高い密度も兼ね備えている、そのような原皮を厳選しています。これにより、最終的な製品の品質を高めることにつながっています。
─その選別された原皮をさらに圧縮することで、どのような効果や特徴が生まれるのでしょうか?
圧縮を施すことで 原皮の持つ特性を最大限に引き出し、他の追随を許さないほど上質な商品を生産しています。長い毛長でしっかりと密度があり、耐久性や肌触りも向上し、他では体験できないほどの寝心地を実現しています。
─今年の生産量について教えていただけますか?
今年度の生産は約100枚程度と見込んでおり、非常に希少性の高い商品となります。
失敗を重ね やっとみつけた独自製法
─圧縮ムートンの開発には様々な苦難があったと伺っていますが、特に難しかった点は何だったのでしょうか?
ムートンの密度を高めるために圧縮すると、土台の革が分厚く硬くなり縫製ができません。そこがもっとも高いハードルでした。さらに圧縮用薬剤も国内の皮革産業の低迷により入手が困難な状況でした。そのため、自社で薬剤を開発するしか選択肢がありませんでした。
─自社で薬剤開発をすることは、かなりの試行錯誤が必要だったのではないでしょうか?
その通りです。皮革に精通された研究者、薬剤メーカーの技術者など 多くの専門家からアドバイスをいただきながら 何度も試行錯誤を繰り返しました。 おかげさまで 独自の圧縮薬剤を完成させることができました。
─薬剤が出来上がった後、縮める工程においてはどのようなご苦労がありましたか?
それもまた大きな課題でした。革への浸透度は気温や湿度に大きく影響され、その時々の環境や原材料の状態に応じて微調整を繰り返す必要がありました。四季折々の変化に対応しながら安定して高品質な製品を生産できるまでが非常に難しい挑戦でした。
─その課題を克服するためにどのような工夫をされたのですか?
さながら酒蔵で米や酵母菌と会話をしながら日本酒を醸す杜氏のようにムートンと向き合いながら課題を一つ一つクリアしていき、失敗を積み重ねながら独自の製法を確立していきました。
─その努力の結果、どのような成果を得られたのでしょうか?
おかげさまで 環境や原材料の変動に対応できる微調整技術を身に付けることができました。 その結果、通年を通じて安定した生産が可能となり、お客様に常に高品質な製品をお届けできる体制が整いました。今後もさらなる改良を重ねて、より良い製品づくりに努めてまいります。
揺らがぬ土台であり 唯一無二! 「アンカージェネシス」命名の由来
─「アンカージェネシス」というブランド名には三つの想いが込められていると伺いました。詳しく教えていただけますか?
まず一つ目は、「アンカー(錨)」の意味です。これは船を係留するための信頼の象徴であり、ブランドの土台となる想いです。弊社はムートンのメンテナンスを通じてお客様のお悩みごとを少しでも軽減し、改善できるよう努めてきました。その誠実な姿勢を「動かさない」という意思表明として表現しています。
二つ目は、「命を継ぐもの、最終走者」としての意味です。私たちは大切な命や資源を預かる責任を重く受け止め、その資源を余すところなく最大限活用し、感謝の気持ちを忘れずに製品やサービスを提供したいと考えています。これは責任と誠実さをもってお客様に価値を提供したいという思いの表れです。
三つ目は、「革新的な技術」を起源(ジェネシス)とし、社会に貢献することです。独自製法で確立した今までにない唯一無二の製品を作り続けるメーカーでありたいという強い想いを表しています。
─革新とオリジナリティを追求し続ける姿勢が伝わりますね。御社の技術や製品が、今後どのように社会貢献していくのか、とても楽しみです。
独自技術だからこそ、特許はあえて申請せず
─御社は独自製法を確立された後、「特許を取得しない」との方針をとられているとお伺いしました。その理由について詳しく教えていただけますか?
特許制度は、発明を公開する代わりに一定期間、その技術を独占的に実施できる権利を得る仕組みだと理解しています。特許出願書類には第三者が理解し再現できる程度まで詳細に記載する必要があります。その過程で技術情報が公開され、模倣されるリスクを懸念しています。
─なるほど。特許を取得するメリットもありますが、その一方でリスクもあるということですね。
その通りです。特許を取得することは開発者の権利を守る一つの方法ですが、あえて申請しない選択も防政策の一つだと考えています。長期的に見て、弊社の技術やノウハウを秘密にしておく方が競争優位性を保つ上で効果的だと判断しました。
─具体的にはどのようにして技術を守っているのでしょうか?
約10年の歳月をかけて開発した製法を一部の関係者のみ知りえる情報として管理しています。これにより、模倣や盗用のリスクを最小限に抑え、長期的に優位性を維持できると考えています。
お客様に目に見える安心をお届けするためにジャパンエコレザー認証を取得
─アンカージェネシスがジャパンエコレザーの中でも最も厳しいゴールド認定を取得していると伺いましたが、その認定の意義について教えていただけますか?
アンカージェネシスがジャパンエコレザー認定を受けていることは、その製品が非常に高い環境・安全基準を満たしているという証です。この認定を取得するためには「天然皮革であること」「排水処理や廃棄物処理が適正であること」「適切に入手された原料皮を使用していること」「発がん性染料や指定された化学物質を使用していないこと」など 多くの厳しい条件をクリアしなければなりません。
─具体的にはどのような管理や検査がおこなわれているのでしょうか?
製造に関わるすべてのデータや使用薬剤について詳細な提出をおこない、ホルムアルデヒドや臭気、亜鉛などの成分についても細かい基準で測定、分析されます。革自体も薬剤数値基準をクリアしなければなりません。さらに、すべての製造工程で使用する薬剤について、安全データシートを提出し、廃棄物が安全に処理されていることを証明するためにマニフェストを添付し、処理方法を詳細に報告しています。これにより環境への配慮と安全性を徹底しています。
─非情に厳格な管理ですね。こうした取り組みが、日本製品の高い品質と信頼性につながっているのですね。
おっしゃる通りです。細やかな「ものづくり」の心を持つ日本製商品を好まれるお客様は多く、その期待に応えるために私たちは高い基準を維持しています。この認定は、お客様に見える安心をお届けし、安心してお使いいただける一つの証となると考えています。